我ら夢あり明日あり野望あり6

 

 


 

 涼子の疑問には答えず、三人は留美が出したお菓子をパクついてまだ話していない自分の情報を出していく。とはいっても

自己紹介の補足みたいなものであった。

「…はいな。もうタイガースとベガルタ命でんねん。特に今期からベガルタはJ1に上がりましたやろ。もう夢のようですわ、しかも

今のところ開幕五連勝!!J1昇格チームの新記録でっせ!!こんなときに聖地、仙スタにいけないのがもう残念ですわー」

 輝美は本当に残念そうにしかめっ面をした。

 そしてまた輝美が口を開きかけた時だった。

「それにでんな、FWのマルコスと山下が…」

ピンポンパンポーン

 館内放送の音である。

『み〜、み〜、み…。え〜只今マイクのテスト中み。本日は晴天なり。本日は晴天なり。昨日も晴天なり。明日は所々によって

雨が降ったり降らなかったり。今週一週間は基本的に温度はあまりあがらない予想だみ。ただあさって以降は雨の心配はないみ。

明日だけお出かけの方は折りたたみの傘をお持ち頂くと安心だみ。来週以降は…』

 物凄く甘ったるい女性…というか女の子の声。

『ちょ、ちょっと明菜(めいな)ちゃん?』

 初老の男性の声が重なる。この声は三人とも聞いたことがある。寮長の声だ。

『み?』

『お天気も大事だけどもとりあえず日曜日の連絡を…』

『み、そうだったみ…。みー、寮内にいる皆さん、次の日曜日、寮長主催のハイキングを行うみ。行き先は葛西臨海公園み。

授業開始前に英気を養うみ。参加費は千円。あさってまでに寮長に申し込んでくださいみ。沢山の参加を待ってるみ。あと出来れば

何かコスプレをしてきてくれると嬉しいみ。あたみはバンガロー伝説の麻衣ちゃんの格好の予定み。ただ涼しかったらハテナちゃんの

格好をするみ。出来れば響君かイロリ君の格好をしてきてくれると嬉しいみ。それと、次の夏コミに向けてイラストか小説を書いて

くれる人を募集…』

『め、明菜ちゃん、ありがと…』

 明らかにありがたがっていない寮長の声のあと放送のスイッチが切れた。

「…」

「……」

 部屋にはしばし沈黙が広がった。そしてややのち…。

「…何だったのかな…?」

「…館内放送でっしゃろ…?」

 だがその答えは涼子を納得させていない。

「まあ、あたしは参加してもいいかな。放送してた子も可愛い子だし。」

 留美は落ち着いた様子で話した。

「分かるんでっか?」

「ええ、明菜ちゃんは身長146センチ体重34キロ、スリーサイズは上から68、45、72。もうたまらなく

可愛い子よ。」

「あ、もう知ってるんでっか?」

「ううん、今知ったところ」

「じゃなんで…」

「お風呂でその子見たな?」

 涼子が口をはさんできた。

「あたーりー。昨日お風呂に入ろうとしたら、その子がお風呂上がりで裸で携帯で話していてね、特徴的な声だったし、何と言っても

可愛かったから覚えてるの。名前は今寮長が言ってたからね、それを総合したらさっきのような結論に達したという訳」

「はー、そうでっかー。…ん、でもなんでスリーサイズまで分かったんでっか?」

 輝美の質問には涼子が答えた。

「留美ネェはね、女の子の体見たらスリーサイズがすぐ分かっちゃうのよ」

「え、ほんまでっか?」

 輝美が目を丸くする。

「うふふ、何なら輝美ちゃんも当ててあげようか?一寸服を体にぴったりさせてみて」

「え!?わ、わてはいいですわ、そんなん人様にお見せできるようなものでもないし…」

 輝美は慌てて服をバタバタ扇いでその場にしゃがみ込む。

「うふふ、まあ、今日ゆっくり一緒にお風呂に入るしね」

「う、決定事項ですかぁ…?」

「うふふ」

 だが今度も涼子には分かっていた。留美は服を普通に着たままでもスリーサイズを当てられることを。

(154、43で78、52、79。うふふ、やっぱり私好み…)

 

 

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